大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所豊橋支部 平成11年(ワ)350号 判決

主文

一  被告石井一仁は、原告伊庭良雄に対し、金四五八万七二一八円及びこれに対する平成一一年一一月二〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告石井一仁は、原告伊庭勝弘に対し、金四五八万七二一八円及びこれに対する平成一一年一一月二〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告日動火災海上保険株式会社は、原告伊庭良雄の被告石井一仁に対する判決が確定したときは、原告伊庭良雄に対し、金四五八万七二一八円及びこれに対する平成一一年一一月一九日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告日動火災海上保険株式会社は、原告伊庭勝弘の被告石井一仁に対する判決が確定したときは、原告伊庭勝弘に対し、金四五八万七二一八円及びこれに対する平成一一年一一月一九日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

五  原告らの被告らに対するその余の本件請求をいずれも棄却する。

六  訴訟費用については、これを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。

七  この判決は、原告らの勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一原告らの請求

一  被告石井一仁(以下「被告石井」という。)に対して

被告石井は、原告両名各自に対し、金一一四六万四四六〇円及びこれに対する平成一一年一一月二〇日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(一部請求)

二  被告日動火災海上保険株式会社(以下「被告会社」という。)に対して被告会社は、原告らの被告石井に対する判決が確定したときは、原告両名各自に対し、金六二一万〇〇〇〇円及びこれに対する平成一一年一一月一九日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(一部請求)

【訴訟物―自賠法三条(民法七〇九条)、自賠法一六条一項に基づく損害賠償請求権及び民法所定の遅延損害金請求権。】

第二事案の概要

本件は、被告石井運転の原動機付自転車と衝突し、その後死亡したと主張して、道路を歩行横断中の被害者の遺族(相続人)である原告らが、自賠法三条(民法七〇九条)、自賠法一六条一項に基づき、被告石井に対して損害賠償を請求し、かつ、自賠責保険契約により被害者請求として保険会社である被告会社に対して損害賠償を請求した事案である。

一  前提となる事実

1  事故の発生(当事者間に争いがない。)

亡伊庭艶子(大正一四年七月一三日生、事故当時満七一歳、以下、「亡艶子」という。)は、次の交通事故に遭遇した。

(以下、右事故を「本件事故」という。)。

(一) 日時 平成九年二月八日午後六時一〇分ころ

(二) 場所 愛知県豊橋市吾妻町一五四番地先道路(市道)上(以下「本件道路」または「本件事故現場」という。)

(三) 被害者 歩行中の亡艶子

(四) 加害車両 原動機付自転車(豊橋み六二七六、以下「被告車」という。)

右運転者 被告石井

(五) 態様 被告石井が被告車を運転して本件道路を東田町方面から平川南町方面に向けて時速約三〇キロメートルで進行中、本件道路を左方から右方に向けて横断中の亡艶子を、被告車の前部に衝突させて路上に転倒させた。

2  事故後の状況(当事者間に争いがない。)

亡艶子は、本件事故により急性硬膜下血腫、脳挫傷(以下「本件傷害」という。)の傷害を受けて、次のような治療を受けた。

(一) 平成九年二月八日から平成九年四月四日

豊橋市民病院に入院

平成九年二月八日開頭血腫除去術、同年二月一三日気管切開、同年三月四日、脳室・腹腔短絡術、頭蓋形成術

(二) 平成九年四月四日から平成九年六月一八日

医療法人光生会病院に入院

(三) 平成九年六月一八日から平成九年七月四日

豊橋市民病院に入院

平成九年六月二七日胃瘻造設

(四) 平成九年七月四日から平成一〇年九月二四日

医療法人さわらび会山本病院に入院

そして、亡艶子は、平成一〇年九月二四日に死亡した(死亡当時満七三歳)。

3  亡艶子の死亡と本件事故との因果関係

亡艶子の死亡と本件事故との因果関係については、相当因果関係があるものと認められる。

(右の点については、実質的に当事者間において争いがない。)

4  被告らの責任原因

(一) 被告石井について(当事者間に争いがない。)

被告石井は、被告車を自己のために運行の用に供していたもので、前方の安全を十分に確認すべき注意義務があるのにこれを怠り、前方安全確認不十分のまま被告車を進行させた過失により本件事故を発生させたもので、自賠法三条、民法七〇九条により、亡艶子の被った損害を賠償すべき責任がある。

(二) 被告会社について(弁論の全趣旨による。)

本件事故当時、被告車について、被告会社と被告石井との間において、自賠責保険契約が存在した。

5  損害の一部填補(損益相殺、当事者間に争いがない。)

原告らは、本件事故による損害賠償として、次のとおりの支払を受けている。

(一) 自動車損害賠償責任保険から

(1) 傷害分として 金一二〇万〇〇〇〇円

(2) 死亡分として 金一七五八万〇〇〇〇円

(二) 被告石井から 金一六四万八〇九三円

(三) 合計額 金二〇四二万八〇九三円

6  相続

亡艶子の相続人は、夫である原告伊庭良雄と長男である原告伊庭勝弘の二名であり、したがって、亡艶子に発生した本件損害賠償請求権の権利は、原告両名が各二分の一の割合で承継した。

(甲第四号証及び甲第五号証)

二  原告らの主張

1  事故態様について

被告ら主張の三〇パーセントの過失相殺は不当であり、本件においては、一〇パーセントの過失相殺で済むはずである。

2  原告らの損害について

(一) 主位的(後遺障害一級)の損害(本件事故と死亡との間の相当因果関係の有無を問わない。)

(1) 後遺障害慰謝料(本人) 金二六〇〇万〇〇〇〇円

(2) 後遺障害慰謝料(近親者) 各金三〇〇万〇〇〇〇円

(3) 後遺障害逸失利益 合計金二〇〇九万七八三九円

〈1〉 家事従事者 金一七一五万〇八六一円

症状固定時 満七一歳

賃金センサス平成九年女子労働者学歴計六五歳以上の年収額 金二九六万四二〇〇円

就労可能年数七年 ライプニッツ係数五・七八六

生活費控除なし

〈2〉 年金受給者 金二九四万六九七八円

国民年金年額 金二六万一三九六円

平均余命一七年 ライプニッツ係数一一・二七四

生活費控除なし

(4) 休業損害 金一一九万三八〇一円

平成九年二月八日(受傷時)から平成九年七月四日

(症状固定時)まで一四七日間

賃金センサス平成九年女子労働者学歴計六五歳以上の年収額 金二九六万四二〇〇円

(5) 弁護士費用 金三五七万〇〇〇〇円

(6) 各被告に対する請求額

〈1〉 被告石井 金三九二八万一六四〇円

(1)から(4)までを加算し、損害の一部填補額金一七五八万〇〇〇〇円を控除して、(5)を加算したもの。

〈2〉 被告会社 金一二四二万〇〇〇〇円

本件の保険金限度額金三〇〇〇万〇〇〇〇円から損害の一部填補額金一七五八万〇〇〇〇円を控除したもの。

(二) 予備的(死亡)の損害(本件事故と死亡との間の相当因果関係のある場合に予備的に請求する。)

(1) 死亡慰謝料 金二〇〇〇万〇〇〇〇円

(2) 逸失利益 合計金一二三四万三六八六円

〈1〉 家事従事者 金一〇五三万二三九五円

死亡時 満七三歳

賃金センサス平成九年女子労働者学歴計六五歳以上の年収額 金二九六万四二〇〇円

就労可能年数六年 ライプニッツ係数五・〇七六

生活費控除 三〇パーセント

〈2〉 年金受給者 金一八一万一二九一円

国民年金年額 金二六万一三九六円

平均余命一四年 ライプニッツ係数九・八九九

生活費控除 三〇パーセント

(3) 葬儀費用 金一二六万一三〇四円

(4) 休業損害 金一一九万三八〇一円

平成九年二月八日(受傷時)から平成九年七月四日

(症状固定時)まで一四七日間

賃金センサス平成九年女子労働者学歴計六五歳以上の年収額 金二九六万四二〇〇円

(5) 弁護士費用 金二〇八万〇〇〇〇円

(6) 各被告に対する請求額

〈1〉 被告石井 金一九二九万八七九一円

(1)から(4)までを加算し、損害の一部填補額金一七五八万〇〇〇〇円を控除して、(5)を加算したもの。

〈2〉 被告会社 金一二四二万〇〇〇〇円

本件の保険金限度額金三〇〇〇万〇〇〇〇円から損害の一部填補額金一七五八万〇〇〇〇円を控除したもの。

三  被告らの主張

1  損害について

(一) 亡艶子の休業損害及び逸失利益の算定にあたっては、亡艶子は高齢であったこと及び主婦業に従事していたことから、その基礎となる所得については、いわゆる平均賃金(原告ら主張の金二九六万四二〇〇円)の七割相当とみるのが妥当である。

(二) 年金額は、少額であることから、その全額が生活費として費消されるものとみるべきであり、過失利益は発生しないものとみるのが相当である。

2  事故態様(過失相殺の抗弁)について

本件事故は、亡艶子が、商店で買い物をして自宅に帰る途中に発生したものであるが、近くには横断歩道があった(二箇所)のであるから、亡艶子はこれを利用すべきであったのである。したがって、本件事故における亡艶子の過失は、三割の過失相殺が適用されるべきである。

四  本件の争点

被告らは、本件事故の態様を争い、また、原告ら主張の各損害額等をそれぞれ争うとともに、前記のとおりの過失相殺を主張した。

第三争点に対する判断

(なお、本件において使用する甲号各証及び乙号各証の書証の成立については、別紙書証目録記載のとおり認定するものである。)

一  本件事故の態様及び事故原因について

前記の前提となる事実に、証拠(甲第一号証、甲第二号証の一ないし一七、被告石井本人の供述〈ただし、後記の採用しない部分を除く。〉、弁論の全趣旨)を総合すると、次の各事実を認めることができる。

1  本件事故現場の状況としては、本件現場は市道であって、被告石井が東田町(北西方向)から平川南町(南東方向)の方向に進行していた本件道路は、片側の幅員は三・二メートルで片側一車線(その全体の幅員は一〇・六メートルでアスファルトで舗装されており、中央線ははみ出し禁止ラインとなっている。)の道路(被告石井が走行していた南東向き車線の北側〈反対の南側にも同様に存在する。〉には、幅員二・一メートルの歩道が設置されていること。)であること、そして、本件道路の制限速度は時速三〇キロメートルであり、その他の交通規制としては、本件事故現場付近は終日の駐車禁止の規制がなされていたこと、

さらに、本件事故当時の本件事故現場付近の状況については、本件事故現場付近は直線であることから、その見通しは良かったこと、本件事故現場は、商店、住宅が立ち並ぶ市街地であって、交通量も多く、道路には街路灯もあって明るいところであること、本件事故現場の北西及び南東の両方向約七〇メートル以内の地点には、本件道路に交差する道路があり、その地点にはいずれも横断歩道が設置されていたこと、特に北西方向に所在する横断歩道は、亡艶子の自宅から約五~六メートルの至近距離にあったこと、

2  本件事故の態様としては、

亡艶子は、本件道路の北東側から南西側に向けて、前記の二つの横断歩道を横断することなく、本件道路に進入し、本件道路を北東から南西へと横断したことから、南東方向に進行して来た被告石井運転の被告車と衝突したこと(なお、その衝突地点は、被告石井が走行していた南東進行車線のセンターライン寄りであること)、

他方、被告石井は、被告車を運転して、本件道路を北西から南東に向かって時速約三〇キロメートルで走行しており、進行方向の左側の歩道から進入して来た亡艶子を発見して、減速して、ハンドルを右に少しきって走行したところ、さらに亡艶子が中央に(南西へ)歩いてきたことから、急停止したものの、被告車の前部を亡艶子に衝突させたこと、

3  そこで、まず、被告石井の過失を検討するに、

本件事故現場は、その前方(南東進行道路方向)の見通しは良かったのであるから、被告石井は、その道路の前方及び左右を注視して、本件道路を通過するに際しては、本件道路を歩行する人の有無及びその動静を十分に確認して進行すべき注意義務があったのに、これを怠ったという過失があること、

4  これに対して、亡艶子の過失を検討するに、

亡艶子から見て、本件事故現場付近は、その右方(被告車の進行して来る方向)の見通しは良かったのであるから、亡艶子は、まずもって、横断歩道を利用して横断することはむろんのほか、本件道路を進行して来る車両の有無及びその動静を十分に確認して本件道路に進入すべき注意義務があったのに、これを怠ったという過失があること、

以上の各事実が認められ、右認定に反する趣旨の被告石井本人の供述は前掲の他の証拠に照らしてこれを採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

二  過失相殺について

前記一で認定の各事実によれば、本件事故は、前記認定の被告石井の過失と亡艶子の過失とが競合して発生したものといわざるをえない。

そして、前記認定の諸事情に徴すると、本件事故における被告車と亡艶子との過失割合については、それぞれ被告車(被告石井)の過失が八割、亡艶子の過失が二割と認めるのが相当である。

三  亡艶子の死亡と本件事故との因果関係

亡艶子の死亡と本件事故との因果関係については、両者の間に相当因果関係があることについては、前記認定のとおり実質的に当事者間において争いがない。そして、乙第一ないし乙第一四号証の各一、二、乙第三九号証及び乙第四〇号証並びに弁論の全趣旨によってもこれを認めることができるので、当裁判所は、以下においては本件事故による亡艶子の死亡を前提とする損害について判断することとする。

四  損害額について

1  死亡慰謝料について(請求額金二〇〇〇万〇〇〇〇円)

認容額 金二〇〇〇万〇〇〇〇円

前記の前提となる事実、本件事故の態様及び前掲の各証拠、原告伊庭勝弘の供述並びに弁論の全趣旨によれば、亡艶子の年齢、家族関係等本件に現れた一切の事情を斟酌すると、亡艶子の慰謝料は金二〇〇〇万〇〇〇〇円が相当である。

2  過失利益について(請求額合計金一二三四万三六八六円)

認容額合計金一〇三三万八九七一円

(一) 家事従事者として(請求額金一〇五三万二三九五円)

認容額 金八五二万七六八〇円

前記の前提となる事実、前掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、亡艶子は、本件事故による死亡当時満七三歳の主婦であり、原告らの家族がいたことが認められる。そうすると、右のような無職の年長者の逸失利益については、当裁判所はいわゆる賃金センサスを参考にして算定するのが相当であると思料するので、亡艶子は、本件事故に遇わなければ、満七三歳から六年間にわたり稼働可能であり、右稼働期間中平成九年賃金センサス産業計・企業規模計・女子労働者・学歴計の六五歳以上の年収金二九六万四二〇〇円を基礎にすると、亡艶子の年齢及び家族状況並びに女子労働者としての就労可能年齢等を参酌すれば、右年収額の約八割に相当する金二四〇万〇〇〇〇円を下らない収入を得ることができ、全期間について生活費として収入の三割を必要とし、年五分の割合による中間利息の控除はライプニッツ係数(五・〇七六)によるのが相当であるから、以上を基礎として、亡艶子死亡当時の現価を算出すると金八五二万七六八〇円となる。

(計算式)

二四〇万〇〇〇円×(一-〇・三)×五・〇七六=八五二万七六八〇円

(二) 年金受給者として(請求額金一八一万一二九一円)

認容額 金一八一万一二九一円

前掲の各証拠および弁論の全趣旨によれば、亡艶子は、本件事故による死亡当時年額金二六万一三九六円の国民年金を得ていたことが認められる。そうすると、亡艶子は、平均余命等を参酌すると、本件事故に遇わなければ、少なくとも今後一四年間にわたり右国民年金を得ることができ、全期間について生活費として右年金の三割を消費するものとし、年五分の割合による中間利息の控除はライプニッツ係数(九・八九九)によるのが相当であるから、以上を基礎として、亡艶子死亡当時の現価を算出すると金一八一万一二九一円(円未満は切り捨てる。以下同じ。)となる。

(計算式)

二六万一三九六円×(一-〇・三)×九・八九九=一八一万一二九一円

3  葬儀費用について(請求額金一二六万一三〇四円)

認容額 金一二〇万〇〇〇〇円

前掲の各証拠と甲第八号証の一、二、原告伊庭勝弘本人の供述及び弁論の全趣旨によれば、亡艶子の葬儀費用については、本件事故と相当因果関係のある額は金一二〇万〇〇〇〇円をもって相当と認められる。

4  休業損害について(請求額金一一九万三八〇一円)

認容額 金九六万六五七五円

前記2での認定事実及び裁判を前提として、前掲の各証拠および弁論の全趣旨によれば、亡艶子の原告らの主張する本件事故と相当因果関係のある休業損害は、次のとおり金九六万六五七五円をもって相当と認められる。

(一) 期間

平成九年二月八日(受傷時)から平成九年七月四日(症状固定時)までの一四七日間

(二) 基礎となる年収額

金二四〇万〇〇〇〇円

(三) (計算式)

二四〇万〇〇〇〇円+三六五日×一四七日=九六万六五七五円

五  具体的損害額について

そうすると、前記四で認定のとおり、本件で原告ら(亡艶子)が被告石井に対して請求しうる損害賠償の総損害額は合計金三二五〇万五五四六円となり、前記二の過失割合による過失相殺をすれば、原告らの具体的な損害賠償請求権は金二六〇〇万四四三六円になるところ、原告らは、損害の一部填補として、自動車損害賠償責任保険金一七五八万〇〇〇〇円(死亡保険金として)の支払を受けた(前提となる事実の5)ので、これらを損益相殺すると、被告石井が原告らに賠償すべき賠償額は金八四二万四四三六円となる。

六  弁護士費用について(請求額金二〇八万〇〇〇〇円)

認容額 金七五万〇〇〇〇円

本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は、金七五万〇〇〇〇円と認めるのが相当である。

七  結論

1  被告石井に対する請求

以上の次第で、原告らの被告石井に対する本訴請求は、金九一七万四四三六円(原告伊庭良雄及び原告伊庭勝弘各人につき金四五八万七二一八円)及びこれらに対する不法行為の後で本訴状送達の日の翌日である平成一一年一一月二〇日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

2  被告会社に対する請求

以上の次第で、原告らの具体的な損害賠償請求権は、自動車損害賠償責任保険金の残額金一二四二万〇〇〇〇円以内のものであるから、原告らの被告会社に対する本訴請求は、被告石井に対する請求と同様に、金九一七万四四三六円(原告伊庭良雄及び原告伊庭勝弘各人につき金四五八万七二一八円)及びこれらに対する不法行為の後で本訴状送達の日の翌日である平成一一年一一月一九日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

3  訴訟費用の負担については、民事訴訟法第六一条、第六四条、第六五条を、仮執行宣言については、同条第二五九条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 安間雅夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例